NSX用 コンプライアンスピボットキャンセラー
こんにちは!
今日は先日少しだけ紹介させて頂いたNSX用コンプライアンスピボットキャンセラー
の詳細が担当者ページに掲載されたのでこちらでもコピペさせて頂きます。
内容は担当者の記事をそのまま転載しています。
昨年からテストしていたコンプライアンスピボットキャンセラーですが
効果の確認と実害がない事が分かったので正式販売用に量産を開始しました。
強度を考えてアルミの固まりから削り出し製作して硬質アルマイト処理までしちゃったから
だいぶコストがかかっちゃったので左右セットで定価48000円です。
取り付けは思慮の末 最初の試作から大きく改善して慣れれば左右で1時間かからず
取り付けできます。
試作段階で10台分ほど作って取り付け寸法の誤差とオーナーのインプレッションを集めて
みたところ用途と車輌の仕様によっては大きな効果があるようです。
そもそもNSXのフロントには何故こんなギミックが仕込まれているのかと整備書や技術紹介を
調べてみると、要するに外力がかかった際前後左右方向にタイヤが動いてこれを逃がす
乗り心地を改善するシステムみたいです。
この場合のコンプライアンスは「唐突なショックに対する柔軟性」と訳せばいいのか。
だけど特にスポーツカーで快適性のためにこんなギミックを仕込んでいるのは
世界的に見てもNSXくらいじゃないかな。
要するにNSXの色々なところに見られるバブル期のユーザー向けな考えすぎシステムの
1つなのかもしれない。
このシステムではサスペンションのフロントアームをゴムを介したリンクでボディに
取り付けているわけですが、強くブレーキをかけたときや横Gがかかったとき
タイヤが前後方向に動く事を容認しているのでトーやキャスターが動いてしまうだろうから
減速不安定になりやすいわけです。
もちろん、普通にノーマルで乗っていて不具合が体感できてしまったら欠陥になってしまうわけで
リンク位置やゴムの固さを含めてメーカーでは徹底的に煮詰めてデメリットよりもメリットが
多いシステムとして搭載したんだと思います。
だけど条件が変われば効果も変わるデメリットが顔を出す事もある。
まずはタイヤホイルの変更社外のホイルにしてオフセットを変更しタイヤが外に出れば
減速時にピボットにかかる力は著しく大きくなるでしょうし、過度の柔軟性は走行中の
余分なアライメント変化となってくるでしょう。
ワイドボディにしてトレッドを広げれば弱いブレーキでもタイヤ位置が大きく動いてしまう事が想像
できます。
車高のダウンも条件変化のひとつでしょうし。
そしてコンプライアンスピボット自体の老朽化も有ると思います。
ゴムを使っている以上老化による動作の変化はあり得るでしょう。
実はこれがオーナーによって減速不安を訴えるレベルの違いじゃないかと思っています
KSPのお客さんでもサーキットで減速時に左右へ振られるのが怖いと言う人は何人かいて
気にならないという人もいる。
もちろんアライメントやハブベアリングのガタなどはチェック済み。
ひょっとして・・と、競技系のユーザーさんを中心にコンプライアンスピボットを溶接して固定して
みたところブレーキ時や大きな舵を入れて曲がる時が劇的に安定すると言いました。
だけどこの溶接はけっこう大変で車載状態のままピボットを溶接しても動作力が大きいので
溶接が割れちゃうんです。
完全分解して内部のゴムが焼けるのを覚悟で強力に溶接すれば当分の間は保つかもしれないけど。
だからボルトオンで動作だけを固定できる部品を作ってみようと思ったのがコンプライアンスピボット
キャンセラーと言うわけで試作品をヒソカ号に組んだところ溶接と同レベルの効果!
との事だったので引き続きテストで使ってもらっていました。
最初はこんなところを固定しちゃって大丈夫なのかいや?
もげちゃったりしないかな・・
と、不安だったので経過を見守っていたんだけど、どうやらその心配はなかったみたいです。
その後も試作品を減速に不満を訴える馴染みのお客さん数人がテスト協力してくれて
効果とトラブルレスを確認しました。
で、先日今更ながらTYIZ号にも取り付けてみました。
実は私はそれほど減速不安も感じていなかったしコンプライアンスピボットキャンセラーには
あまり興味がなかったんですけど、
TYIZ号は一度コンプライアンスピボットを交換しているんですね。
R用かS用だったかな。。
ちなみにR用のコンプライアンスピボットはゴム硬度が高く標準に比べると動作は少なく
規制されているんだろそうです。
ピボット交換後フロントの剛性感が大きく向上してシャッキリしたのを憶えています。
なるほどね。
そういうことなのか・・
でも、せっかくだから取り付けてみて試乗しつつ検証してみると、なるほど
ブレーキをかけているときにいままでは無意識にハンドルを強く握っていたのが
軽く抑えているくらいでスムーズに減速するのが分かる。
特に軽くステアしながら強く減速するときが顕著かな。
高速域からブレンボパワーでハードブレーキしてみるとフロントの動きがガッチリ感じての
暴れが減っているのも分かる。
なるほどなるほど。
だけど
TYIZ号に関しては「劇的!」と言うほどじゃなくなるほど、良くなったけどたぶんすぐに慣れちゃって
これが普通だと思うようになるでしょう。
という感じでした。
そう考えると元々コンプライアンスピボットの動作が抑えられている走行の少ないType-Rには
効果が薄いかもしれないけどピボットのゴムが老化している初期型NA1には劇的な効果に
なるのかと思います。
デメリットに関してもじっくり検証してみましたが本来この機構のメリットであろう
「振動や乗り心地の改善」が悪化したという感じはないです。
まあ、
タイヤホイルが社外品だしサスペンションもオリジナルだしTYIZ号に関しては動作部を全て
ピロブッシュにしているから今更フルノーマルと比較インプレッションは出来ないんですけどね。
イラストはメーカーの説明にあるコンプライアンスピボットの動作説明。
「特性の設定自由度が高く・・」とか歯切れが悪い説明だけど、
要するに路面からのショックを受け流したりブレーキ時に「ガツン!」と感じないようにとか
スポーツカーとしての走行性能のためではなく乗り心地対策の機構だと言う事でしょう。
このイラストの尺度を考えると減速時にフロントタイヤは10ミリ以上後退する事になりそうだけど
やはりこの設計は変じゃないかな・・
理論で作ってみたから採用したけれど、次期車輌には採用されないシステムになると言う気がしてならない。S2000のVGSみたいにね・・
その下の写真はコンプライアンスピボットのゴム部分を下から見たところ。
ゴムの固まりの中に四角いシャフトが入っていてこれを回すときの反発力をピボットの動作として利用しています。
でも実は四角いシャフトはゴムに圧入されているだけでゴムとは溶着されていないからシャフトは
長さ方向に動いちゃうんですねぇ・・
だから経年老化してアルミの部品同士が擦れるようになると異音が出やすくなります。
車庫入れなどで前進してブレーキかけて止まるときにパキ・・バックして止まるときにカキ・・
こんな音が出ている初期型NA1はけっこう多いです。
つまりその程度の力でピボットは動いてしまっているわけですね。
TYIZ号が数年前にピボット交換したのはこの音が気に入らなかったからなんですけどだからこそ
いままで減速不安に関してそれほど気にならなかったのかもしれません。
だけどType-Rのコンプライアンスピボットは左右で16万円で交換作業もかなり大変。
新品買うのは痛いし、これもいつかは老化してくるわけだから
キャンセラーで動作固定してしまうのは結果オーライで良い方法なのかと思いますね。