必見!NSX エンジンメンテ
今年は平成3年車の車検年
年明けは
かなり余裕だったファクトリーも
徐々に預かり台数が増えてきましたが
ファクトリーが空いているうちに
エンジン降ろしメンテナンスを出来るだけ進めようと
予定を組んでいるところ。
エンジン降ろしメンテナンスは
かなり予約が溜まっちゃっているから
効率を上げるためにも
新方式を検討しています
と、言っても
ごく当たり前のやり方なんだけど。
この整備メニューは
エンジンミッションを組んだまま
リアメンバーごと降ろして整備する方法なわけですが
エンジン、ミッション それぞれ単体で降ろし
リアメンバーとサスペンションはボディに戻して
ボディはリフトから出して
降ろしたエンジンはスタンドに取りつけて地道に整備する。
と言う方法
手がかかるし時間もかかるから工賃も変わるけど
ミッションやクラッチにも手を入れる場合などでは作業効率が良いし
メカニック二人での分業が出来るので
進行も早いだろうとやり方を模索してます。
で、ちょうど
庄内ナンバーのAT車がこの整備の依頼と言うことで入庫して
エンジン降ろしメンテナンスとATの整備になったから
良い機会なので
新たな方法の実験中。
リフトアップして
ATを降ろし
サスペンションごとリアメンバーを外し
エンジンを降ろす
リアメンバーはボディに戻してリアハッチを付けてリフトから出す。
ここまでをメカニック大久保が担当
降ろしたエンジンは工場長が整備する。
大久保は引き続き次のNSXの整備に着手
ATは
私と大久保で検証しながらフルOHする予定
このNSX
走行距離は12万キロほどで
ATFが凄まじく汚れていたし
ATの内部を見るのが楽しみだけど
エンジンも 過去の整備が怪しくて
タイミングベルトを交換した形跡があるんだけど
ベルトカバーのネジが入っていなかったり
ゴムパッキンが外れていたり
いかにも
慣れていないメカニックが エンジン搭載状態で作業した形跡が見て取れる。
怪しいなぁ・・と思いつつ
インテークマニホールドを外してV6エンジンのバンク間を見ると
ノックセンサーハーネスのプラスチック製ブラケットが溶けている。
このブラケット
シリンダーブロックにネジ止めされているんだけど
これが溶けると言うことは
シリンダーがそれだけ高熱になったと言うことで
オーバーヒートの経験ありと言うことでしょう。
でも、この症状はけっこう多いんです
引き続きベルトカバーを外してみると
やっぱりタイミングベルトがコマズレしてる。
ご丁寧に
前後バンクとも吸気側カムが一コマずつ。
これだと
低速トルクは体感であまり変わらないんだけど
回転上げると全然トルクが出ないはずで
たぶん20馬力くらいは損していたと思うんですよね。
まあ、諸問題を含めて
今回の整備で全て対処する予定なので
オーナーの元に返る時は
劇的に静かでパワフルになっていることでしょう。
パワステ取付その他作業で「肥後のNA1号」が陸送で入庫。
これは
コンディション良好なNSXですねぇ。
パワステの取付がメイン作業だけど
遠路はるばる入庫したので
オーナーが気になっているポイントを改善して送り返す予定。
で、大久保は引き続き香川ナンバーMT車のエンジン降ろしメンテナンス。
こちらも
過去の整備形跡がかなり怪しい・・
エンジン周りに使うネジと足回りに使うネジが入れ替わっていたり
色々ネジ類が違う物が使われていたりする。
クランクプーリーのセンターボルトが締まっていなくて
ユルユルだったのは驚いた・・
まあ、ベルトが掛かっているから
クランクプーリーが抜けることも無いだろうけど
このボルトは25キロの強トルクで締めるんだから
締め忘れるって
かなり怖い整備をしていると思われる。。
さらクーラントを抜いてビックリ
配管の内部がサビで赤茶色・・
オーナーに電話して状況を伝えたところ
このNSXを購入して
クーラントがサビ水になっているのに気付いて
自分で2回ほどクーラント交換したそうです。
でも
今回エンジンを降ろしてみると
クーラントが触れる鉄部品のサビが激しい。
まあ、致命傷は無いんだけど
ホースの接続部からクーラントが漏れるかも知れないし
エンジンに組まれている
クーラントが流れる鉄パイプ部品は交換することにした。
整備を進めていると
このNSXも
ノックセンサーハーネスのブラケットが溶けてます。
やっぱりこの症状はけっこう多いです
過去に何があったのか分からないけど
ホースが破裂してとりあえずその部分を交換
その時に軽いオーバーヒート
減ったクーラントは水だけ入れた
その状態で数年・・
結果 サビが進行・・
という感じでしょうか。
なにやら過去に色々あったみたいですが
今のオーナーさんはずっと大事に乗るつもりなので
今回 出来る限りの整備でリセットして
快調にしてオーナーの元に帰す予定です。
メーカーの話では
クーラントって
普通に走っていても2年ほどで錆止め性能が落ちるそうです。
色は変わらないし凍結防止とかは維持できているから
なかなか
2年ごとに交換する人もいないんですけど
昭和の頃は クーラントは車検ごとに交換を推奨していましたね。
まあ、いまのLLCは性能も良くなっているんでしょうし
走行距離が極端ではなければ
2年ごとに交換必須とは言いませんが
濃度はしっかり維持するべきなんでしょう。
NSXの標準クーラント濃度は50%。
これはかなり濃いんですが
このクルマに寒冷地仕様は設定されていなかったし
余裕を持った濃度だったのかと。
クーラントって
濃い方が錆止め性能は高いらしいけど
放熱性は悪化するんですよね
TYIZ号で50%濃度でサーキット走ってみたら
やはり
水温は高めになったから
サーキットユースで50%は濃すぎるんでしょうね。
そんな条件を加味して
NSXの様々な整備の時に
クーラント濃度は一般的な30%強を目安にしています。
当然だけど
このくらいの濃度が維持できていると
配管の鉄部品に著しいサビが生じることが無く
冷却水経路はいつもきれいです。