重要対策ポイント!NSX専用KSP製LSD/ファイナルギヤ開発!
こんにちは。
KSP商品部の「ヤス」です。
前回、ご案内させて頂きました
「NSX専用KSPオリジナルLSD&ファイナルギア」について
進捗状況をご案内させて頂きます。
LSD本体の特長などについては次の機会にお話しする事にしますが、
今回は「ファイナルギヤ」についての基本的な事と、
その対策についてのお話を少しさせて頂きます。
ご案内させて頂く内容については、やや長文となります。
既にご存知の方も多いお話かと思いますが、
少々お付き合い頂ければ幸いです。
さて、LSD及びファイナルギヤを純正から変更する事は、
いわゆる「駆動系」のカスタマイズとなる訳ですが、
そのなかでファイナルギヤとは、どの様な役割を持っていて、
交換する事でどの様な効果が得られるのか、
また、どの様なトラブル対策が必要なのかをお話させて頂きます。
基本的な事として、
まずエンジンからの出力は各ギヤをかえして
最終的にカウンターシャフトからファイナルギヤへと
伝達されてタイヤホイールを回転させています。
「ファイナルギヤ」と呼ばれているだけに、
一番最後にあるギヤな訳ですが、
このファイナルギヤも各ミッションギヤと同様に
駆動系チューンとしては非常に大きな役割を担っています。
エンジン回転に対して小さなギヤを使用すれば
重たい物を移動しやすいけど最高速が出ない。
逆に大きなギヤを使用すれば動かしづらいけど最高速が出る。
この原理に基づいてバランスと効率を考えた変速機が
ミッションというわけですが、
ファイナルギヤはこれらとは別に存在する
最後の歯車となります。つまり、
ファイナルギヤが変更されるという事は
全てのギヤ全域で加速力が変化する事に繋がる事になります。
なお、現在開発中のファイナルギヤ数値は
いままでも存在していた4.2と4.4というものになります。
【補足】
クーペ純正MTのファイナルギヤは約4.0となります。
数値は大きいほど加速力が。小さい程、最高速向きの特性となります。
ちなみに100km巡航時の回転数で
・5MT純正ファイナル(4.0):約2600rpm +α
・5MT 4.2ファイナル :約2700rpm +α
・5MT 4.4ファイナル :約2800rpm +α
・6MT 4.4ファイナル :約2700rpm +α
という様に変化致します。
加速力が向上するという事は
とは言っても5MTの4.4ファイナルで
レブリミット近辺まで回したとしても
計算上250km/hほどとなるため、
実際の用途で最高速が犠牲になる様な事は
故にNAのNSXの場合、
大きなパワーアップが難しい中で
ファイナルギヤ交換チューンはNSXには
非常に大きな武器になると言えるパーツとなります。
さて、今回開発しているラインナップでは
加速力が大きい4.4ファイナルの他に
4.2ファイナルも同時に進めていますが、
4.4ファイナルの場合それだけシフトチェンジは
自然と忙しくなる方向になります。
「しっかり効くLSDでそこまでシフト操作が忙しくならないもの」
というご要望が有ったのが事実で、
タイプRと同数値の「良く効くLSD」という事で
この様に、ファイナル交換は
NSXをより楽しくするパーツとなるので、
KSPがNSXパーツを開発し始めた当初から
お薦めのパーツとなっています。
しかし、今回、
新たなLSD及びファイナルギヤを開発するにあたり、
以前から大きな課題の1つとなっているのが
「ファイナルギヤ」のギヤ鳴り問題です。
KSPでも様々なLSDの装着実績がありますが、
この「ギヤ鳴り」の問題は、ある意味
「アフターパーツの限界」ととらえていたとこがありましたが、
もちろん純正にも存在しているファイナルギヤは
「ギヤ鳴りはない」という事実から、
どうにか改善出来ないものかと試行錯誤していました。
大前提として、
ミッションとLSD、そしてファイナルギヤが
1つの箱の中に収まっているNSXの場合、
FR車の様にミッションとLSDがまったく
別に存在しているのものと比較しても、
圧倒的なスペースの制限があるため、
各種パーツの製作難易度が高い傾向にあります。
そこで今回開発しているファイナルギヤと
それに付随するパーツにに関しては、
仕上がり精度を徹底的に追及する前提で進めています。
と言う事は歯車同士が接触する事で
動力が伝達されている事になりますが、
この「精度」を改めて見直し適正化していきます。
まずは、ファイナルギアの歯面精度についてです。
非常に大きな力が加わる部分ですので
精度はもちろん、それなりの強度が必要となります。
画像は、従来採用していた社外品と純正品の
ファイナルギアの歯面拡大画像です。
歯車同士が組み合わさる時、
金属同士が組み合わさる訳ですから
必ず微量ながら音が発生します。
2つの歯車が噛み合わさる際に
お互いの接点が限りなく高い精度を保てていれば
歯車は滑らかに動きますが、
仮に接点が波打ってる(凹凸)状況だとしたら、
歯車が噛み合わさっている間に
均一に動力を伝える事ができません。
つまり、歯車同士がズレ動く事になるわけです。
これがうなり音の1つの原因と考えられます。
画像から見ても明らかな通り、
続いてカウンターシャフトも同様に比較します。
画像からも解るとおり
ファイナルギヤおよび
カウンターシャフト共に
社外品と比べ純正品の方が
明らかに歯面の精度が高い事が伺えます。
「歯のガタ」とは違い、うなり音の場合
「歯面形状の誤差」であったり
「歯そのものの剛性」が原因であったりする事が多いので、
ここを従来使用していた既存のものよりも
今回、開発しているKSP製LSD&ファイナルギヤは
「異和感を与えないもの」である事を目的としています。
それは、「バキバキ」という表現に代表される
LSDの「チャタリング音」であったり、
高周波な音を発生する
ファイナルギヤの「うなり音」を発生させないという、
今までは「機械式LSDだからしかたない」とか
「改造してるんだから異音はあたりまえ」と言ったものを
覆す高性能なものを目指しています。
今まで説明してきた通り、
ギヤ(歯車)にもっとも必要な強度を持たす事は
容易ではないにしろ妥協出来ない部分と言えます。
簡単に破損してしまっては困りますからね(笑)
ただ、更に上のクオリティ・・・
つまりギヤ鳴りのしないものを造るには
簡単に言えば従来品より更に「手間」がかかります。
従来から使用していた物に関しては
現物から判断するにコスト等の問題から、
これらの「手間」は省かれていた可能性がありますが
今回開発の製品では、この手間を妥協せず
従来品では行っていない更なる特殊加工を施し
「純正クオリティ」に近い、従来品を上回る様な
LSD&ファイナルギヤを製作する事で
NSXの「性能と品格」を今までよりもより
確固たるものへと飛躍させてくれる製品となります。
REALワイドトレッドスペーサーの
保安基準適合化に代表される様に
KSPではユーザーが求めるクオリティに
応えられる様、一切妥協せず